明日を生きるごはん

テレビでは知り得ない食と健康の話

油脂の話 ~大量生産品の罠~

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※ご来訪ありがとうございます。当ブログにはじめてお越しの方は、まずこちらを読んでいただけるとうれしいですm(__)m

「油抜きダイエット」なんてのが流行ったのは一昔前でしょうか。

昨今は「良い油を摂ろう」とか、「トランス脂肪酸は良くない」とか、油に対する考え方が少し変わってきているように感じます。

今回は、「避けたい油脂」、「選びたい油脂」というテーマでまとめてみました。

油と脂の違い

・油・・・常温で液体状のもので、主に植物性。サラダ油、オリーブ油など

・脂・・・常温で固体状のもので、主に動物性。バター、ラードなど

 

油脂の成分「脂肪酸」がカギ

油脂の主な成分は「脂肪酸」です。脂肪酸飽和脂肪酸と「不飽和脂肪酸」の2つに分けられます。

飽和脂肪酸

常温で固体のもの。バター、ラードなどの動物性「脂」と、パーム油、ココナッツ油などの植物性「油」も含まれます。

 

不飽和脂肪酸

主に液状の植物性油全般です。体内で合成されない「オメガ3」「オメガ6」脂肪酸と、体内で合成される「オメガ9」脂肪酸、そして製造過程で生成される、悪名高いトランス脂肪酸についてご説明します。

オメガ3脂肪酸を含む油(体内で合成されない)

必須脂肪酸とも呼ばれます。

・えごま油、亜麻仁油・・・αリノレン酸→体内でDHAEPAに変化

・魚油・・・DHAEPA

熱に弱く、変性しやすい特徴があります。

オメガ6脂肪酸を含む油(体内で合成されない)

こちらも必須脂肪酸です。

ごま油、コーン油、大豆油、サラダ油など。

主にリノール酸を多く含み、熱に弱く、変性しやすい特徴をもっています。

 

オメガ9脂肪酸を含む油(体内で合成される)

オリーブ油、キャノーラ油、菜種油、米油など。主にオレイン酸を多く含む

これらは比較的熱に強い性質があります。

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸とは、液状の油脂を固体にするため、不飽和脂肪酸に水素を添加して原子の並び方を変えることにより、生成される脂肪酸です。

なぜわざわざそのような加工をするのか?というと…それは、

 

使い勝手が良く、保存性が高いから。

(つまり、コスパが良いということ)

 

トランス脂肪酸が含まれる油脂は、主にマーガリンやショートニングなどが該当するほか、一般的なサラダ油にも含まれます

なにげにここ重要!

トランス脂肪酸の問題点については、次の「避けたい油脂」の項目で言及します。

 

避けたい油脂

スナック菓子

できれば避けたい油脂をご紹介します。調味料としてだけでなく、市販のドレッシングやお菓子類にも注意ですよ!

1.トランス脂肪酸を含む油脂

マーガリン、ショートニング、パーム油、サラダ油など

やはり筆頭に挙げられるのがトランス脂肪酸でしょう。

トランス脂肪酸は、バターなどに含まれる天然のものもあるようですが、危険視されているのは、人工的に作られた油脂に含まれるものです。

 

トランス脂肪酸の摂り過ぎにより指摘されている健康リスク

糖尿病、心臓疾患、がん、アレルギー、うつなど

 

農林水産省では、トランス脂肪酸の摂取量と健康リスクの関係について、まだ情報が十分でないとしていますが、WHOでは総エネルギー摂取量の1%以内にとどめるよう勧告しているとあります。

 

それによると、日本人の平均エネルギーが1900kcalで、その1%ということなので、2グラム以内に抑えよということになるそうです。

 

しかし!

 

現実問題として、日本ではトランス脂肪酸の表示義務はありません。

ということは、製品にどれくらいのトランス脂肪酸が含まれているか、一般消費者には分かりにくいということです。

 

また、マーガリンやショートニングおよびそれらが含まれる食品はまだ分かりやすいですが、「植物性油脂」と記載されたスナック菓子なども、トランス脂肪酸が含まれているということにも注目したいところ。

 

はっきりいって、「植物性油脂」なんてあらゆるお菓子に含まれてますからねえ…。

 

そうそう、大量生産系のチェーン店で出す揚げ物なんかも、トランス脂肪酸がたっぷり入っているサラダ油やパーム油(パーム油は外食産業でよく使われる調理油です)で揚げている場合がほとんどです。

 

そう考えると、いったい自分がどれだけトランス脂肪酸を摂ってきたのか、考えると恐ろしくなります(-_-;)

 

2.ノルマヘキサン処理(加熱処理)されている油脂

サラダ油、パーム油、キャノーラ油、など

サラダ油というのは、大豆油、綿実油、菜種油、コーン油、オリーブ油など複数の植物油を混合し、ノルマヘキサンという劇薬を使って加熱処理したものです。

 

パーム油はヤシの実から、キャノーラというのは油用に品種改良された菜種から作られる油のこと。

これらもサラダ油同様にノルマヘキサン処理によって作られます。

 

これらの問題点の筆頭として、

  • ノルマヘキサン自体が有害物質であること
  • 精製時にトランス脂肪酸に変化すること

さらにそれに付随して

  • BHA、BHTといった発がん性が指摘される酸化防止剤(添加物)が加えられていること
  • 原料に遺伝子組み換えのものが多いこと
  • 原料の残留農薬問題

などなどがあります。

・・・なんか悪そうなもののオンパレードですよ(;゚Д゚)

 

トランス脂肪酸だけでも健康リスクがあるのに、さらにいろんな毒物が含まれていて、それが日本では表示義務すらないのです。

 

正直、キャノーラ油なんてすごくヘルシーなイメージ(揚げ物がカラッと揚がりそうとか、コレステロール対策とか)で使っていましたから、これを知ったときはちょっとショックでした。

 

これらは、やはり市販のドレッシングやスナック菓子などにたくさん使われていますが、表示はほとんど「植物性油脂」だけで片付けられています。

 

知らないって怖いですよね。

 

もちろん、こんなことテレビなどではあまり積極的に報道しません。

だって、絶対スポンサー絡んできますからね。

自分の体を大事にしたいなら、覚えておきましょうね、皆さん。

 

3.原料の遺伝子組み換え・農薬問題

2の内容と被りますが、原料の植物(コーン、大豆、菜種など)は遺伝子組み換えのものが多いといわれています。

 

以前の記事でも触れましたが、原料として使われるトウモロコシのほとんどはアメリカ産であり、そのうち約9割が遺伝子組み換えであることを考えると、想像に難くないですよね。

4.原料の畜産問題

バター、ラードなど

畜産問題とは、バターであれば乳牛、ラードであれば豚の飼育問題です。

 

それぞれ、早く成長させるために成長ホルモンや抗生物質が投与されたり、飼料に遺伝子組み換え作物が使われたりしている問題があります。

さらにいうと、飼料の闇深~い現実もあるのですが、これについてはまた別の機会にお話しします。

 

つまり、そのような環境で育った畜産の脂を摂ると、間接的にさまざまな化学物質が人体に入ってくる可能性があるということです。

 

選びたい油脂

さて、ではどんな油脂を選べば良いのか?という問題です。

「避けたい油脂」で挙げた以下の項目は、最低限でもクリアしたいところですね。

 

  • 化学物質による加熱処理ではなく、圧搾法で抽出が望ましい
  • トランス脂肪酸を極力含まない
  • 原料の生育環境が良好である(遺伝子組み換えでないなど)
  • 原料の畜産が良好である(飼育法を公開している牧場を選ぶなど)

 

そして、油脂を選ぶ際に一番重要視したいのは

「油脂は生ものである」

ということです。ですから液状の油であれば

 

  • 遮光瓶に入っている(酸化しにくい)もの

 

を選ぶことも大事だということです。

特に、熱に弱く変性しやすいオメガ3や6を含む油は要注意ですね。

 

 

そういったことを踏まえたうえで、推奨される油脂とは具体的に何でしょう?

「加熱調理向き」「生食向き」に分けて挙げてみます。

 

1.加熱調理向きの油脂

バター、ラード、オリーブ油、菜種油、米油、アボカド油など

これらは比較的熱に強い油脂です。

ただし、オリーブ油は独特の風味があるので料理の種類によっては菜種油、米油のほうが向きます。

※菜種油は、キャノーラ油ではなく、日本古来の菜種を圧搾法で作ったものが望ましいということです。

 

スーパーなどで売られている一般的なサラダ油は、トランス脂肪酸の問題などもありますが、そもそも熱に弱かったという衝撃的事実(^^;

 

2.生食向きの油脂

亜麻仁油、えごま油、ごま油など

オメガ3や6の油ですね。

サラダのドレッシングなどにして摂るのが一番望ましいとされています。

 

番外・ココナッツオイルはどうなのか

ココナッツオイル

テレビや美容系のSNSで話題になったココナッツオイルについて、衝撃的な情報がありました。

 

ココナッツオイルといえば美容に効果的と謳い、今でも検索すると体に良さげな情報が上位に上がっていますが、実はとても問題の多い油だということが分かってきているのだそうです。

 

私がいつも参考にしている内海聡氏の書籍から引用すると、

ココナッツオイルはダイオキシンに似た環境ホルモン作用があり、パーム油と共通する成分として、性ホルモンの代謝を阻害する有害因子が含まれているのです。

性ホルモンはDNAの遺伝情報にまで作用する重要なホルモンですから、それが正常に働かなくなると、不妊精子減少性同一障害といった状況も考えられるのです。

~書籍「がまんしない医者の食卓」より~

とあります。

 

ほかにも「ココナッツオイル 性ホルモン」で検索すると、同様の記事があるので

気になる方はリサーチしてみてくださいね。

 

しかし…いったんブームになってしまうと、なかなかそのイメージを覆すようなネガティブな情報というのは、あまり積極的に報道されていないように個人的には思います。

 

食品に限らずですが、マスコミはどうしても流行りやスポンサーの意向に沿った情報を一方的に流す傾向にあります。

 

「真実の情報」というのは、自分で取りにいかないとつかめない世の中なのだと、調べれば調べるほど分かってくるのですよね。

 

おわりに

長くなってしまいました。

油脂は体をつくるうえで重要な栄養素ですから、少し力を入れて書きました。

これでも、まだ伝えきれていないことがあるかと思いますので、また別な機会に取り上げさせていただきたいと思います。

 

まとめると・・・

油脂はなまもの。

新鮮なものを適材適所で使おう。

トランス脂肪酸が含まれる油や、それを使ったスナック菓子等はなるべく避けよう。

 

このようなところでしょうか。

いい油脂はなかなか高価ではありますが、病気になって医療費がかさむことを考えると、そう高くはないのかもしれません。

 

【参考】

・「ライフミール」

必須脂肪酸(オメガ3)とは?必須脂肪酸の種類や働き、食品に詳しくなろう! | Lifemeal [ライフミール]

・「日本マーガリン工業会」

日本マーガリン工業会

・「農林水産省

すぐにわかるトランス脂肪酸:農林水産省

・「食の知識GAROP」

抽出溶剤 |食の知識【GAROP】