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テレビでは知り得ない食と健康の話

牛乳の知られざる問題 その2「まさかの健康リスク/後編」

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※ご来訪ありがとうございます。当ブログにはじめてお越しの方は、まずこちらを読んでいただけるとうれしいですm(__)m

あまり表に出てこない「牛乳有害説」。

今もなお、その真偽については論議がなされていますが、そもそも牛乳論争が起こっていることすら認知されているとはいえないのが現状です。

今回は前回に引き続き、指摘されている牛乳の健康リスクについての後編となります。

牛乳にまさかの健康リスク?後編

前編をまだ読んでいない方は、以下よりどうぞ。

↓ ↓ ↓

nanakama.hateblo.jp

指摘されている牛乳の健康リスクは、主に6つに分けられます。

前編では、そのうち3つを取り上げさせていただきました。

↓ ↓ ↓

1 品種改良によって生まれた新しいタイプのたんぱく質(a1型βカゼイン)問題

(アレルギー、精神ダメージ)

2 超高温殺菌とホモジナイズド製法によるたんぱく質変性

(アレルギー、消化不良)

3 乳糖不耐症の問題点

(消化不良による栄養吸収阻害)

 

後編では、以下の3つについて考えていきます。

↓ ↓ ↓

4 残留ホルモン問題

(発がんリスク?)

5 残留抗生物質

(発がんリスク?)(ヒト免疫系に影響?)

6 カルシウムパラドックス

(逆に骨が脆くなる?)

 

4. 残留ホルモンによる発がんリスク

実は、畜産牛乳と性ホルモン系のがん(乳がん卵巣がん前立腺がん)との関連性は、昔から多くの専門家によって指摘されています。

 

その原因と考えられているのが、

  • 牛乳中に残留している「女性ホルモン(エストロゲン
  • 遺伝子組み換え牛成長ホルモン「rBGH」投与によって増加する「インスリン様成長因子(IGF-1)」です。

 

【女性ホルモンが残留とは?】

そもそも、牛乳は仔牛のための「母乳」ですから、女性ホルモンが少なからず含まれています。

 

そこまではいいとして。

 

近年の畜産牛は効率を上げるために、妊娠牛」から搾乳している場合が多いため、残留ホルモン値が高くなっているのだそうです。

※出産して2~3か月経ったら再び妊娠させ、搾乳量を多くすることが目的。日本では非妊娠牛のミルクを販売しているところも僅かながらあるそうです

 

乳製品に残留するホルモンは「内分泌かくらん作用」または「環境ホルモン作用」などといって、不妊精子減少などDNAの遺伝情報に大きく関わるほか、

乳がん卵巣がん前立腺がんの発症リスクが高まるといわれています。

 

インスリン様成長因子(IGF-1)って?】

先ほどは、意図的に乳牛の妊娠期間を長くすることで、女性ホルモン値が高くなるということをご説明しました。

 

畜産牛においては、さらに搾乳量を上げるため、人工的に「遺伝子組み換え成長ホルモン(rBGH)」を投与することがあります。

このrBGHを投与された牛乳には「IGF-1」というインスリン様成長因子が増加することが分かっています。

 

これは発がん性を高めるばかりか、がん細胞の増殖に繋がるとした論文が1998年の「サイエンス」と「ランセット」に発表されました。

 

これは世界中で議論を呼び、大手メーカーが「rBGH不使用」と宣言するなどの措置をとっているとのことですが、アメリカではまだまだこの成長ホルモンが使用されているのが現状です。

 

ちなみに、日本ではこの成長ホルモンは認可されていません

しかし、じゃあ安全かというと、決してそうではなく、アメリカから入ってくる乳製品には使用されている可能性が高いというのです。

 

2017年に「日本農業新聞」に書かれた、鈴木宣弘教授のコラムを一部引用します。

認可もされていない日本で、米国のrBST使用乳製品は港を素通りして、消費者は知らずにそれを食べている。所管官庁と考えられる省は双方とも「管轄ではない(所管は先方だ)」と言っていた。

 

また、そもそもそのような成長ホルモンを人工的に乳牛に投与することに関して、動物愛護視点からの懸念を感じさせる言葉も印象的でした。

これを遺伝子組み換え技術により大腸菌で培養して大量生産し、乳牛に注射すると一頭当たりの牛乳生産量が20%程度増加する(一種のドーピング)ため、牛乳生産の夢の効率化技術として登場した。ただし、乳牛は「全力疾走」させられて、搾れるだけ搾られてヘトヘトになり、数年で屠殺される。

 

私も牛乳についてさまざまな資料を読みましたが、この問題は極めて深いと感じ、少し長く取り上げさせていただきました。

 

引用元の鈴木氏のコラム、気になる方はぜひ一読を。

TPP11と成長ホルモン問題|食料・農業問題 本質と裏側|コラム|JAcom 農業協同組合新聞

 

5. 残留抗生物質による、ヒト免疫系への影響

※前回の記事にて、「発がん性?」と記載したのは「免疫系への影響?」の誤りでした。申し訳ありません。(訂正済み)

日本では、成長ホルモンの投与は認可されていないということをご説明しましたが、抗生物質の投与は必要に応じて行っているとのことです。

 

抗生物質を投与する目的は、

  • 乳房炎や蹄病などの予防
  • 飼料の変換効率を上げる
  • 成長促進
  • 衛生管理

などがあります。

 

残留抗生物質については牛乳だけでなく、食肉業においても常に問題視されています。

抗生物質というのは乱用すると必要時に効果が得られにくくなるというデメリットがあるのは、ご存知の人も多いことでしょう。

 

間接的に抗生物質を摂り続けることでのリスクについては、2019年の「現代ビジネス」にて、以下のような記事が書かれていました。

抗⽣物質の乱⽤が、有益な常在細菌を減らし、⼈間⾃⾝の免疫機能に異常をもたらす。さらには薬剤耐性菌の出現を助け、⽪⾁にも魔法の弾丸であった抗⽣物質が、新たな不治の病を⽣み出す結果になってしまったのか。

引用:

抗生物質の取りすぎで起こる「人体の異変」を知っていますか?(尾崎 彰一) | 現代ビジネス | 講談社(3/3)

 

日本乳業協会では、市場に出回っている牛乳において残留抗生物質はないと明言しています。

しかし、海外ではその懸念がありますので、チーズやバターなど輸入乳製品はその限りではありません。

 

また、北海道のJA阿寒のサイトにて、以下のような記事がありました。

このような「意図しない形」で事故が起こり得ることはあるようです。

 

blog.goo.ne.jp

このように、すべての企業がこうして隠すことなく報告し、改善に努めていただけているのであれば良いのですが。

6. カルシウムが豊富なのに骨粗鬆症リスク?(カルシウムパラドックス

乳製品 明日を生きるごはん

 

いよいよ牛乳問題最終章、本丸の「カルシウムパラドックス」です。

発がんリスクや精神ダメージといったものも驚きの内容でしたが、ここにきて

「牛乳=カルシウム」神話が崩壊か?といった内容になります。

 

カルシウムパラドックスとは、カルシウムの「逆説」とか「矛盾」といった意味があり、主に以下の2つの現象に対し使われる言葉です。

 

①カルシウム不足になると生命維持のため骨や歯のカルシウムが溶け、逆に血管や脳のカルシウム濃度が増える

②牛乳の摂取量が多い国(カルシウムを多く摂取している国)に、骨折や骨粗鬆症などの疾患がなぜか多い。

 

①も②もカルシウム摂取という意味ではどちらも重要なのですが、

ここでは特に②の

「牛乳を飲むと骨折や骨粗鬆症リスクが上がる?」

について触れていきます。

 

牛乳摂取と骨折、骨粗鬆症の関係についての論文はたくさんある

牛乳の摂取量が多いほど骨粗鬆症が多いという論文は、ハーバード大学のヘグステッドにより初めて発表されました。

Hegsted DM. Calcium and osteoporosis. Journal of Nutrrition 116: 2316-2319, 1986.) 

それ以降も様々な研究によって、牛乳の消費量が多い欧米諸国ほど、骨折や骨粗鬆症リスクが高まるという論文が発表されています。

 

(参考)

http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/milkcalcium2-3.html

 

しかしながら・・・

これらに対し、日本の乳業メーカーや乳業協会は、「科学的根拠が乏しい」

としてあまり肯定的ではありません。

牛乳が体に良くないというのは本当ですか? | 乳と乳製品のQ&A | 一般社団法人日本乳業協会

 

 

そんな牛乳論争が続く中、書籍「パンと牛乳は今すぐやめなさい」の著者である内山葉子氏が、

2020年、世界的権威のある医学雑誌「イングランドジャーナル」にて、「牛乳で骨は強くならない」ことが立証されたことを動画で述べました。

 

牛乳は健康食でない! 世界的メジャーな医学雑誌が立証 牛乳で骨は強くならない - YouTube

 

このように、さまざまな専門家が声を挙げているのは事実なのですから、ぜひ日本でも表のメディアで取り上げ、真摯に向き合っていただきたいと願うばかりです。

 

牛乳がどうして骨を弱くするのか?

そもそも、「牛乳のカルシウムは吸収率が良く、骨の強化になる」という風にわたしたちは教育を受けてきたと記憶しています。

 

それがどうして、骨を弱くする結果に繋がるのでしょうか。

 

これについての説明はカルシウムの複雑な働きについて理解しなければならず、とても難しかったです(^^;

それで後編だすのに時間がかかりました。

 

今回は書籍「牛乳のワナ」(著者 船瀬俊介氏)に引用された真弓定夫医師の説明と、ガン栄養療法・食事指導講師の吉富信長氏の動画説明を参考に、私なりにまとめてみました。

 

【①乳糖不耐症により、カルシウム・マグネシウムが吸収できない】

まず、前編でも説明したとおり、日本人は乳糖不耐症の人が一定数います。

そういった人は乳糖を分解する酵素ラクターゼ)が分泌しにくいため、牛乳を摂取してもカルシウムやマグネシウムの吸収がうまくいきません。

 

従って、骨を作るカルシウムとマグネシウム(カルシウム単体だけでなく、マグネシウムも必要)不足になるというわけです。

 

【②牛乳は体内で酸性になると、骨からカルシウムが溶けだす】

乳糖不耐症でなければ、基本的に牛乳のカルシウムは吸収率が良いとされているので、一気に血中カルシウム濃度が上がります。

 

ただ、牛乳に含まれる動物性のたんぱく質は、消化吸収の過程で酸性になるということが分かっています。

 

ヒトの正常体液は「弱アルカリ」であるため、中和して正常に戻すため、骨に貯蔵していたカルシウムを溶出させるという現象が起こります。

 

そういった働きにより、牛乳を飲み続けることで結果的に骨が脆くなっていくというのです。

 

 

ここでは詳細を省きますが、牛乳とリンとの関係や、カルシウムとマグネシウムの比率、ビタミンDなど、カルシウムと骨の関係はほかにもさまざまな要素が絡みます。

 

カルシウムを効果的に摂取し、骨を強くするには、「牛乳以外の野菜や海藻などから摂るべき」とする専門家も多くいます。

 

つまり、「牛乳のカルシウムは骨を強くしない」というのが、牛乳有害説を訴える側の一貫した主張であるということがお分かりいただけたでしょうか。

 

おわりに

牛乳にまさかの健康リスク/後編は、指摘されている問題点6つのうち、

 

4 残留ホルモンによる発がんリスク

5 残留抗生物質によるヒト免疫系への影響

6 牛乳のカルシウムは骨を強くしない

 

について触れました。

 

こうした数々の問題点は、公に認められていない形になっているため、あくまでも「説」としかいいようがありません。

 

しかしながら、現にこういったデータがあり、多数の専門家が声を挙げている以上、牛乳や乳製品は良い環境で製造されたものを選び、あくまでも「嗜好品」として楽しむのが賢明なのではないかと個人的には感じました。

 

そもそも、こんな大事なことをなぜ公にしないばかりか、表のメディアで議論しないのか。

次回以降の記事では、小麦のときと同じように、そういった疑問や歴史的背景、動物の尊厳といった問題にも触れていこうと思います。

 

長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

 

【参考】

・「健康チャンネル信長」

牛乳有害説「残留したホルモンが危ない!」エストロゲンとIGF-1の発ガン性【栄養チャンネル信長】 - YouTube

 

牛乳に抗生物質が残留している!?抗生物質の副作用は危険!【栄養チャンネル信長】 - YouTube

 

善玉カルシウムと悪玉カルシウムについて!悪玉カルシウムで心臓発作や骨粗しょう症になる!?【栄養チャンネル信長】 - YouTube

 

・「乳糖不耐症

【乳糖】カルシウムの吸収率アップや便秘解消に役立つ二糖類 | Slism Slism

 

・「カルシウム・パラドックス

カルシウム・パラドックス - Wikipedia

 

・書籍「牛乳のワナ」 船瀬俊介

 


牛乳のワナ 35の病気を生みだす史上最悪の飲料!? [ 船瀬俊介 ]