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肉が一般家庭料理に取り入れられるようになったのは、明治中期頃といわれています。
当時からみれば保存技術も向上し、簡単に手に入りやすくなった一方で、食肉となる家畜動物についてはあまり知る機会がないのではないでしょうか。
今回はそんな家畜動物の一生や、食肉を摂取し続けた場合の指摘される健康リスクについて、まとめてみました。
食肉の問題点4つ
食肉の問題点を4つに分け、前回の記事では1と2について言及しました。
前回までの記事はこちら
↓ ↓ ↓
今回その2では、
3. 食肉を摂取し続けた場合の指摘される健康リスク
4. 飼育環境問題
について考えていきます。
3. 赤身肉と加工肉の健康リスク
ここでは、食肉の中でも健康リスクが指摘されている「赤身肉」と「加工肉」についてみていきます。
赤身肉(主に牛肉)
肉類の中でも、脂肪の少ない赤身の肉といえば、なんとなく健康に良いイメージがありませんか?
鉄分やたんぱく質摂れそうとか、元気になれそうとか。
少なくとも私はそう思っていました。
しかし、実は習慣的な赤身肉の摂取により、さまざまな研究機関から死亡リスク、発がんリスク、糖尿病リスクなど、ネガティブな報告が毎年発表されているのだそうです。
例えば、アメリカの国立医学図書館の発表(2018年)をみると、
「食べる量が1日65グラム増えるごとに子宮がん、肺がん、食道がん、大腸がん、糖尿病といった病気のリスクが上がる」という結果が出ています
引用:
牛肉・豚肉を食べると「がんリスク」が上がる! 意外すぎるエビデンスとは? | 40歳からの予防医学 | ダイヤモンド・オンライン
また、ガン栄養療法士の吉富信長氏の動画によると、
赤身肉の消費は全死亡率の上昇と相関しているとBMJ(ブリティッシュメディカルジャーナル)で発表されていること、
日本の大規模調査においても、赤身肉の摂取が増えると男女ともに大腸がんのリスクが上昇したことが分かっているということです。
これらの健康リスクの一因には、赤身肉に含まれる「ヘム鉄」が影響しているという研究結果も多数報告されています。
ちなみに、レバーは非ヘム鉄に分類されるそうです
一般的に、ヘム鉄は積極的に摂りたい栄養素だと認識されていますが、実は発がん性のある「N-ニトロソ化合物」の生成を促すといわれているのです。
対して、上記の調査において鶏肉にはがんとの相関関係が認められず。
また、魚介類については摂取量の増加にともない、大腸がんのリスクを低下させたと報告されたそうです。
吉富氏の見解では、
- 赤身肉の摂取は週1~2回くらいがベスト(飼料にこだわったものについても同じ)
- タンパク質を摂るなら赤身肉よりも鶏肉や卵、豚肉(厳格には豚肉は赤身ではないそうです)、および大豆などから摂るのが理想
とあり、ほかさまざまな資料をみても、赤身肉についてはそういった意外な結果となりました。
【参考】
・「栄養チャンネル信長」
赤身肉のリスクについて!赤身肉の習慣的な摂取はガンや心臓病のリスク、死亡率の上昇に!?【栄養チャンネル信長】 - YouTube
・
加工肉
スーパーなどで販売されるハム、ベーコン、ソーセージといった加工肉には、亜硝酸ナトリウムやソルビン酸といった添加物が使用されていることは、以下の記事でもお伝えした通りです。
↓ ↓ ↓
ですから、ちょっと肉自体の栄養価からは話が逸れてしまいますが、少しだけお付き合いください。
一般的に、加工肉に使用されるのは豚肉です。
豚肉にはミオグロビンという色素が含まれており、時間が経つと黒っぽく変色してしまう性質があります。
そこで、亜硝酸ナトリウムという発色剤を使うことで、キレイなピンク色が保たれているのです。
亜硝酸ナトリウムはそれ自体に強毒性があるため、使用基準が厳格に定められていることで知られています。
そればかりか、亜硝酸ナトリウム使用の加工肉を摂取すると、さきほど赤身肉のところでもご説明した発がん性のある「N-ニトロソ化合物(ニトロソアミン)」が、体内で発生しやすいことが分かっているというのです。
つまり、加工肉は亜硝酸ナトリウムの急性毒性とニトロソアミン、両方のリスクを抱えた危険な食品であるということがお分かりいただけたでしょうか。
こちらの記事も参考になります。
4. 畜産動物の飼育環境
ここからは、食用肉となる鶏、豚、牛の育つ環境を簡単にまとめてみます。
(個人的な所感は最終段落に記します)
なお、一般的な畜産動物の一生については
ジェイエイ北九州くみあい飼料株式会社 - 山口・北部九州・中九州のJA全農グループの系統配合飼料メーカー
畜産動物の環境(データ)については
を参考にしました。
鶏(ブロイラー種、卵用種)
鶏舎イメージ
※ブロイラーとは、短期間で出荷できるように品種改良された肉用鶏のこと。対して地鶏とは、主にその土地のブランド鶏のことを指す
【卵用種】
孵化して5カ月後くらいには卵を産めるようになる。
卵用種のヒナの8割以上はケガなどの防止のため、麻酔なしでくちばしの先端を切断される。(ビークトリミング)
1~1年半の間卵を産み続け、およそ2年ほどで肉用(主に加工用)として出荷される。
(本来の寿命は15~20年)
なお卵用種は、そのほとんどが身動きのとれないような金網ケージ(バタリーケージ)の中で一生を終える。
バタリーケージ飼育の過酷な環境については、こちらの記事も参考になります。
【ブロイラー種(肉用鶏)】
ブロイラーのほとんどは鶏舎での平飼い。
平飼いといっても放牧とは違い、身動きのとれないほどの超過密飼いの状態で、生後約2カ月で出荷される
(地鶏の場合、4~5カ月で出荷)
公益社団法人畜産技術協会の調査によると、ブロイラー種においてくちばし切断を行っているのは全体の5%である。
ブロイラー種の飼育環境についてはこちらも参考になります。
肉用豚
養豚家は、発情期を迎える雌豚を導入、人工授精による妊娠・出産を経て子豚を育成していく。
なお、妊娠豚は専用の妊娠ストールという狭い檻(多くは60cm×200cmのストールを採用)の中で多くの時間を過ごすこととなる。
繁殖豚は2年で約5回の分娩、1年で20頭以上の子豚を出産し、出産能力が落ちる4~5歳で出荷される。
産まれた子豚の多くは生後7日以内に去勢、断尾、歯切りを行う。(麻酔なし)
肉となる子豚は「肥育豚」と呼ばれ、豚舎内で群れ飼育されたのち、生後約6カ月で出荷される。
(本来の豚の寿命は15~20年)
以下は、肉用豚の一生についてが良く分かる記事です。
肉用牛
肉用牛も乳牛と同様、人工授精によって妊娠・出産する。
産まれた仔牛はすぐに母牛から引き離され、初乳以外は基本的に人工ミルクによって飼育される。
生後3カ月頃になると多くの肥育牛は鼻輪を装着し、雄は去勢手術を行う。
(いずれも麻酔は行わない場合が多い)
除角は約6割の農家で行われており、断尾については「行っていない」とする農家が9割以上であった。
一般的な飼育法は牛舎や囲い場での群飼い(放し飼い)が多いが、生後12か月を過ぎると、太らせるために牛舎内にて飼育される。
牛の種類や性別によって差があるが、おおむね生後28カ月前後で出荷される。
(本来の寿命は20年くらい)
肉用牛の一生について、参考になる記事もどうぞ。
所感
予想通りではありましたが、鶏・豚・牛ともに、大多数はイメージ(大自然の中で放牧、みたいな)とは少し違った飼われ方でした。
密飼い、ストレス、痛み、苦しみ…
こうした動物たちの犠牲あっての食肉なんだと、改めて考えさせられました。
こういった話はタブー化されがちですし、
「こんなこと言われたら肉が食べられなくなるじゃないか!」
と怒られそうですが、
簡単に何でも手に入るようになった今だからこそ、今一度現実を見つめなおしてみることも大事なのではないかと思います。
また、飼育環境についてはもっと消費者が声を挙げていっても良いのではないかとも感じました。
おわりに
食肉の現状について、その1では
- 残留化学薬品
- 飼料問題(農薬や遺伝子組み換え、肉骨粉)
について触れ、
今回その2では、
- 肉を摂取することの健康リスク
- 畜産動物の飼育環境
について触れてきました。
通してみると、まるで
「肉は食べるな」
と言っているように思うかもしれませんが
決してそうではありません。
ただ、取り上げさせていただいたような問題がある以上、それを分かった上で
「どんな肉を摂取していくのか」
を考えていくべきなんじゃないかと思います。
私が参考にさせていただいている内海医師や吉富氏は、
飼育法をきちんと公開している畜産家から取り寄せるのがベストだが、それが難しければせめて国産品を選ぶことを推奨しています。
牛に関しては、かなり希少ですが「グラスフェッドビーフ」もおすすめだそうです。
(濃厚飼料を使用せず、牧草で育てた放牧牛。オーストラリア産が有名)
私個人の考えとしては、
「肉をいただくこと=命をいただくこと」
であると真摯に捉えたうえで、飼育環境の良いものを
頻繁にではなく、ときどきいただく
(そのときは感謝の気持ちで)のが理想なのではないかと感じました。
みなさんはどう思われたでしょうか。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回以降のテーマは未定ですが、私たち日本人に欠かせないお米について取り上げていこうかとも考えています^^
【参考】
書籍「がまんしない医者の食卓」 内海聡著
がまんしない医者の食卓 (フォレスト2545新書) [ 内海聡 ]